日本最大級のガールズポータルサービス

魔法のiらんど文庫

大人気書籍化作品の最新情報サイト

『ワケあり生徒会!NEXT』

Web限定!『ワケあり生徒会!』ショートストーリー

ここでしか読めない!ワケありスペシャルSS!
新生徒会 vs 旧生徒会♥みんなはどっちを応援する?
人気のキャラがぞくぞく登場~! お見逃しなく☆

第4話 『お兄ちゃんは誰?』

第3話 『勝敗は見えている?』

第2話 『悪の王に立ち向かえるのは…』

第1話 『料理で勝負!』

第4話『お兄ちゃんは誰?』
「結局瞳は俺のこと『お兄ちゃん』って呼んでくれなかったね」


ソファーの上でまどろみながら、契が眠そうにそんなことを言う。

確かに出会ってすぐの頃にそんなこと言ってたけど、まさか本気だったんだろうか。

いぶかりながら契を見つめていれば、「これは真のお兄ちゃんポジションを築きつつあるカナちゃんへの挑戦状ですねぇ」と楽しげに唯が言った。

そんなワケないでしょ、と私が否定するよりも先に。

「おい、やべーぞカナ」

「これは受けて立つべきだよカナちゃんー」

速攻で悪ノリし始める問題児達。

「…いや~、俺は別に、」

「じゃあどっちが瞳ちゃんの兄に相応しいか比べてみようか」


全くノリ気じゃない奏の言葉を遮って、陽平が爽やかぶって笑う。

ああこれは暇潰しに使われたなと思っている間にも、『お兄ちゃん比べ』がスタートした。

「やっぱりお兄ちゃんと言えば、林檎を片手で握り潰せるかですよねぇ」

何その唯のお兄ちゃん像…! そんなお兄ちゃんヤダ…!

「食べ物無駄にするんじゃねぇよ~。てか、それ全く兄に関係ないでしょうに」

ばっさりと奏に切り捨てられて、今度は凛が口を開く。

「やっぱり、宴会芸である裸踊りを一通り踊れることじゃない?」

凛…! 貴方もう面白がってるだけでしょ…!

「んなことしたら、反抗期一直線でしょうに」

うん、もう奏の発言が何よりまともな『お兄ちゃん』だと思うんだけど。

もうこの馬鹿な会話終わらせてくれないかな、と視線を泳がせる。

その先で目が合った陽平は、柔らかく微笑んで。

「うん、やっぱり裸踊りは古いからストリップダンスができるかどうかだよね」

どこか真剣な声音で、そんなことを言い放った。違う…! 古いとか古くないの問題じゃない…!

「陽平、それただ英語にしてみただけだろ~?」

「違うよ、裸踊りは最初から裸。ストリップダンスは徐々に脱いでいくんだよ」


その違い心底どうでもいいわ…!

「ちなみに瞳ちゃんは、どんなお兄ちゃんがいいのー?」

こてんと首を傾げた優斗に聞かれて、ふぅ、と溜め息をひとつ。

悪ノリばかりする問題児達を、キッと睨みつけて。

「悪ノリしないお兄ちゃん」

これ以上騒ぎが大きくならないように、はっきりと言い捨てた。
TOPへ
第3話『勝敗は見えている?』
「わ、私と勝負、して」


震える声で、昴に言う。

彼はどこか呆れたように「…そんなに見たいのか」と呟いた。

「見たい…!」

「僕もー!」

「俺も見たいですよぅ」


私の言葉に賛同するように、優斗と唯も食いつく。

私達が見たいのは、昴の小さな頃の写真。

陽平が「そういえば、昴って小さい頃理事長に女装させられて写真撮られたらしいね」と言ったのが始まりだった。

そんな黒歴史を昴が見せてくれるワケもなく、「なら瞳ちゃんと昴が勝負して、瞳ちゃんが勝ったら見せてよ」という陽平の言葉に唆されて今に至る。

じっと期待を込めた目で見つめれば、昴は諦めたのか「わかった」と溜め息交じりに頷いた。

勝負内容は唯が作った『お互いが言った身体の部分をくっつける遊び』。

物理的にくっつけられなかったり、精神的にくっつけられずに「参りました」と言った方の負け。

「瞳から始めていいぞ」

昴に言われ、逡巡したのち「右手」と告げる。

そうすれば、昴は躊躇いもなく右手を伸ばして私の右手を握った。

じわりと、頬が熱くなる。

写真見たさについ乗せられたけど、私何やってるんだろう。

視線を合わせられずに俯いていれば、「じゃあ鼻」という昴の冷静な声が耳に届く。

思わず顔を上げて「写真見せる気ないでしょ」と抗議すれば、「さぁ?」とあしらわれてしまった。

息を呑み、緊張で小さく震えながらそっと顔を近づける。

羞恥で泣きそうになりながら自分の鼻の頭と昴の鼻の頭をくっつければ、「案外頑張るな」と意外そうに言われた。

ほんとに見せる気ないじゃないのと思いつつ、近過ぎる距離に惑いながら「左手」と口にする。

またあっさりと左手同士をくっつけられて、次はどうしようかと悩んでいれば。

「唇」

「え、」

「次、唇」

平然と昴に告げられて、自分の肌が赤く染まるのがわかった。

硬直して、でもなんとか…!と自分を鼓舞して、距離を詰めては硬直して、を繰り返した結果。

「…参りました」

私の口から出たのは、降参のセリフ。

さすがにみんなの前で自分からキスするのは難易度が高すぎた。

2人きりだったとしても多分無理だっただろうけど。

すっと離れていく昴を睨むように見つめれば、彼は秀麗に口角を上げる。

その表情を見て、この人には一生勝てないなと静かに悟った。
TOPへ
第2話『悪の王に立ち向かえるのは…』
「『それはワケあり歴1年、8月1日のことだった。国の王である陽平は、冷酷非道な絶対君主であった。逆らう者には容赦なく制裁を与える彼に歯向かえる民など1人もいない。

「パンがないなら空気でも食ってろ」が王の口癖であった。

その年の夏は酷く暑く、雨も少なかった。このままでは、多くの民が命を落とすのは明白である。誰も歯向かうことのできない、絶対的な王。

しかしついに圧政に耐えかねた1人の青年が、悪の王を倒すべく立ち上がった…!その青年の名は凛。

奇しくも王の誕生日である8月1日に、彼はたった1人、城へと向かうのであった。…つづく』」



「…って、ヨウ君と凛君の関係をわかりやすく話すとこんな感じだよねー」

ひょこりとちょんまげを揺らして、優斗がどこか得意気にそう言った。

わかりやすかったような、よけいにややこしいような…。

確かに“あの”陽平に向かっていけるのって、新旧メンバー合わせても凛だけだと思うけど。

「正直わかりにくいけど、キミの配役はよかったと思うよ」

くすくすと、凛は楽し気に笑う。

「『悪の王』って、彼にピッタリだし」ね?と、同意を求めるように凛は陽平を見る。

すると陽平は持っていたコーヒーカップをテーブルに置いて、にっこりと微笑んでみせた。

「そうだね。多分その青年は王に勝てずに終わると思うけど」

…あ、コレはマズい展開だわ。

「何言ってるの、王が負けて青年に跪くんだよ」

凛と陽平の間に漂う凍った空気に、ひやりと背筋に冷や汗が伝う。

2人とも笑みを崩さずにいるけれど、目が完全に笑ってない。

「凛、そんなこと言っていいの? 後悔するかもよ」

「後悔するのはキミの方でしょ。なんなら試してみる?」

ヒートアップする2人をよそに、ちらりと優斗に目を向ける。

「…優斗、あの2人どうする気なの」

私のそんな質問に、へらりと頼りなく笑った彼は。

「やっぱり僕のせいー?」

泣きそうな声で、そう聞き返してくる。

私は溜め息交じりに「多分ね」と呟いて、また何やら勝負事を始めた陽平と凛に巻き込まれないよう、黙って傍観しようと心に決めた。
TOPへ
第1話『料理で勝負!』
「じゃあ今から料理対決始めるよー」


マンションのリビングで、優斗が意気揚々と告げる。

事の発端は、唯が何気なく「カナちゃんと一葉ってぇ、どっちが料理上手なんですかねぇ?」と疑問を口にしたからだ。

今日は新旧メンバーが揃っていたこともあり、お昼ご飯の時間に早速対決しようということになってしまった。

ちなみに今回、奏のサポートに陽平と綾、そして一葉のサポートには唯と優斗がつく。

他のメンバーは審査員なので、料理をする6人以外は楽と言えば楽だ。しかしなんと言うか。

「カナ、俺牛丼しか作れねーけど」

「ちなみに俺は卵割るくらいしかできないから」

「…わかった、手伝いが必要になるまでお前ら休憩な~」


早速イスに座ってしまう綾と陽平。

「ルカちゃんコレ美味しいよー」

「こっちも美味しいけどぉ。でも念のためもうちょっと味見ぃ」

「…お前ら食ってるだけだろ」


味見だけ手伝う優斗と唯。

うん、もうこれ奏と一葉だけでいいと思うのね。

そんなことを思っていれば、数分して暇になったらしい綾が「手伝ってやるよ」と上から目線で奏に近づいていく。

でももうほぼ出来上がりなんですけど、といぶかった瞬間。

彼は奏の目が向いていない内に、綺麗に仕上がっていた料理に手を加え始めた。

「ちょ、綾待って…!」

「あん? なんだよ瞳」

「なんだよじゃなくて…!」

貴方牛丼以外作れない味覚音痴でしょうが…!

「ん~?どした?出来上がるまで大人しく座ってな~」

しかし気づいていない奏には、私の方が注意されてしまう始末。

他のメンバーも見ていなかったのか、誰も加勢してくれない。

諦めて口を噤んで、そこから更に数分後。

「あー、僕もうお腹いっぱいー」

「料理って、作ってるだけで満腹になりますねぇ」


一葉が作ったはずの料理は、綺麗さっぱりお皿の上からなくなっている。

…そりゃそんなガッツリ食べ切ったら満腹にもなるわ。

珍しく一葉が呆然としてるじゃないの。

いや、問題はそれじゃない。問題なのは、残ったのが綾の手が加わった料理だけということだ。

「じゃあもう対決諦めて、普通にコレ食えばいーんじゃね?」

そんな綾の一言で、その残った料理をお昼ご飯にすることになったのだけど。

食べている最中、綾以外みんな静かに泣きそうだったのは言うまでもない。
TOPへ
ページトップに戻る